バックオフィスの自動化。
ここに業務改革のメスを!
中小企業は、限られた人員で事業を回していかなければならない。
そのため、経営者自らが営業から経理、総務などを兼務し、時間に追われているケースが多い。将来に備えて、新しいビジネスの種をまいたり、顧客を拡大したりしたいが、日常の業務を回していくのに精一杯で、時間に余裕がないという経営者も少なくないだろう。
「そんなときこそバックオフィス業務を〝自動化〞すべきなんです」と、会計ソフト『弥生会計』で知られる弥生株式会社マーケティング部のマネジャー・望月悠史氏は語る。
「会計ソフトを入れていない中小企業は未だに7割近くもあり、多くはエクセルで会計作業をしているのが実情です。月末に5時間ほど苦しい思いをすれば、なんとかなってしまうため、わざわざ会計ソフトを導入する必要性を感じないのだと思います。しかし最近の会計ソフトは、領収書をスキャンしてデータ化できるし、インターネットバンキングの入出金データなどを銀行から取り込むことで、仕訳から決算整理、決算書作成までほとんど自動でできるようになっているのです」
経理担当にとって、月末はただでさえ忙しい。何十枚もの領収書を1枚1枚確認しながらエクセルに入力する作業は大きな負担だ。それに、手入力では、どうしてもミスが発生してしまう。
その際の手戻りまで考えると、無視できないような時間と労力を浪費していることになる。
「経理業務を自動化することで、財務諸表やその裏付けとなる書類など、融資の際に金融機関へ提出する書類を簡単に作成することができます。会計事務所に依頼している場合も、データ漏れなどを最小限に抑えられるので、迅速な対応が期待できます」
また、重要な経営判断を下す場合、最新の経営指標が必要になるが、会計ソフトを使えば、たとえば、取引先別の損益情報や経費の内訳など、いつでも最新の情報を取り出して経営判断に役立てることができるようにもなる。
「何より、バックオフィス業務を自動化してできた時間と意識を、新規営業や事業開発など、未来に向けた業務にあてることができます。中小企業の場合、バックオフィス業務改革は優先度が低くなりがちですが、中小企業こそ、そこにメスを入れるべきなのです」
つまり中小企業経営者は、限られた時間にどうチカラ配分するかを計算する必要があるのだ。企業の成長を考えた「算盤力」。これこそが今、経営に求められるものなのかもしれない。
編集協力 プレジデント社 企画編集本部