株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)
営業本部 マーケティング部
部長
西 英伸
『奉行クラウド』では、基幹業務はもちろん、従業員とバックオフィスをつなぐ商品を揃えています。経営者の方々には、これらを利用した人材力アップもご検討いただきたいですね

人材マネジメントにこそ、情報技術を効果的に使う!

人手不足に悩む中小企業は、増える一方だ。大企業との競合で新卒採用が難しくなったことに加え、「大量退職」が拍車をかけている。団塊世代の一斉リタイアが注目されたが、最近では、親の介護などを理由に、65歳未満で会社を辞める社員も後を絶たない。 

中小企業では若手社員への技術承継が大きな経営課題だが、ベテラン社員の予想外の早期退職で技術がバトンタッチできない事例も続出している。
さらに「働き方改革」による労働時間短縮が義務づけられれば、人手不足が深刻化するのは避けられない。さまざまな企業の経営事情に詳しい、株式会社オービックビジネスコンサルタントの営業本部マーケティング部長・西英伸氏は、人手不足の解消策として、ITによる「人材の有効活用」を提言する。

「ITの導入によって、バックオフィス業務の効率化ができることは、周知の事実です。特に、会計、労務管理などに関する業務は、定型的な内容が多いため、システム化に馴染みやすいといえます。また、バックオフィス業務のIT化は、専門知識や経験が必要だと考えられがちですが、最近のシステムは、業務支援機能も充実していますので、仕事に不慣れな若手社員でも、業務がしやすくなっています」

同社のデータによれば、ある企業が経理業務を電子化したところ、給与明細の印刷や封入、社員への手渡しといった業務が削減され、経理部門の労働時間が1人当たり年間45時間減ったという。人件費換算では年間14万円もの経費節減。節減して生み出した時間を最適な人材に配分し、企画や営業といった収益部門に従事してもらえれば、コストダウンだけでなく、売上・利益アップを図る可能性も生み出し、企業運営に効率的に働くことになる。

さらに、西氏は、社員を適材適所で生かすための人材マネジメントにも、ITが力を発揮すると強調する。
「たとえば、社員の能力や性格といった個人情報を入力すると、社員の仕事に対する適性を評価したり、社内メンバーの適切な組み合わせを割り出したりするITシステムもあります」

中長期的に見れば、労働力は減りこそすれ、増えることはない。特に中小企業は、現有社員を磨き、生産性を高めていく必要がある。経営においては、事業開発、営業といった「攻め」の分野に目が向きがちだが、人材マネジメントといった「守り」を、「攻め」に転換する発想を持たねばならない。経営者はIT活用によって、企業の人材力をどう高めるかを考える必要がある。

取材日:2019年5月

編集協力 プレジデント社 企画編集本部