株式会社PFU
イメージング事業本部 ビジネス推進統括部
プロモーション推進部 部長
山口 篤
正直、書類の管理や経費精算は生産性のない単純作業。そこに時間が割かれるのは、経営者にとって大きな負担です。スキャナーの力で、紙文化のデジタル化を担っていきたいと思います
弥生株式会社
マーケティング本部マーケティング部
ビジネス戦略チーム マネジャー
望月 悠史
中小企業にとって大切なことは、ビジネスの継続。営業活動やサービス開発など、いわゆる『本業』といえる部分に注力していただけるような環境づくりをサポートしていきたいですね

生産性アップの天敵 。「紙文化」から脱却するには

―制度変更を控え、中小企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。

望月 全体として求められているのは生産性の向上です。個々の制度変更に取り組むことは重要ですが、労働人口が減少するなかで企業活動を維持していくためには、生産性を高めることが必須であると考えます。政府としても効率化は必須、それが働き方改革やインボイス制度導入などの根底のひとつと考えています。ただ、まだまだ国の方針に民間企業が追いついているとは言い難く、とくに中小企業の取り組みは遅れ気味といわれています。

山口 生産性の足かせになっている大きな要因のひとつに紙文化があると考えています。さまざまなクラウドサービスが拡大する一方、多くの企業で、紙を扱う業務は完全にはなくならず、効率化も難しいのが現状かと思います。会計業務でいえば、見積書、請求書、納品書、領収書など、取引先から受け取る紙書類の管理や処理に手間を取られて時間がかかってしまう。生産性向上の第一歩として、ここに取り組む価値は大きいのではないでしょうか。

望月 まだまだ月末に領収書を一枚一枚、手で入力して集計している中小企業は多いです。請求書も同じです。企業にとって売掛金の回収は要です。しかし、営業の方は通常業務で忙しく、請求書の作成は後回しになりがち。結果、月末に請求書作成業務に忙殺されてしまう。当然そのときは残業です。

山口 経理担当者も、請求書や領収書の突き合わせ作業があるので、紙で運用している場合は出社して対応することになりますが、原本を電子化しておけば自宅で対応でき、経理部門のテレワークも実現可能です。この他にも、紙の紛失リスク低減、保管スペース削減、検索性向上など、紙の電子化にはさまざまなメリットがあります。

電子化された紙情報をソフトウェアに自動入力

―効率化に悩む中小企業に対して、これまで両社はどのような解決策を提供してきたのでしょうか。
望月 弥生のビジョンは、「お客さまの事業立ち上げと発展の過程で生まれるあらゆるニーズにお応えする『事業コンシェルジュ』」です。具体的には、会計、給与、販売などのバックオフィス領域をソフトウェアで自動化して、本来の事業に注力できる環境を整えるお手伝いをしています。

PFUの「スキャンスナップ」の特長は、簡単、スピーディ、コンパクト。
領収書や請求書をデジタル化するファーストステップに最適だ

山口 私たちはスキャナーというハードウェアでお客様をサポートしています。すべてペーパーレスで業務を行うことが理想的ですが、現状、たとえばレシートや領収書など、どうしても紙として出てきてしまうものもあります。
当面は紙とデジタルが併存する環境での効率化を考えなくてはいけません。そこで必要になるのが、紙をスキャンしてデジタル化していくことです。
PFUの「スキャンスナップ」は簡単、スピーディ、コンパクトに誰でも簡単に使えるので、電子化のファーストステップに最適です。

望月 紙の電子化が自動化の最初のステップだとすると、スキャンしたものを自動で読み取ってソフトウェアに入力するのが次のステップ。「弥生会計」は2015年からPFUさんの「スキャンスナップ・クラウド」と連携しています。弥生の「スマート取引取込」機能を使うと、スキャンしてクラウドに取り込まれた領収書やレシートを自動で取り込み、仕訳までできるようになりました。
この連携は、大変ご好評いただいています。一つ事例をご紹介させてください。神奈川県のとある製造業の会社では、毎月40枚ほど、工具備品などの経費精算書類を扱っていたそうです。
ところが、事務員の方は仕訳までできなかったので、社長自身が手打ちでソフトに入力していたそうです。その後、連携したところ、仕訳は自動で入力までされるので、事務員の方に「スキャンだけしておいて」と頼めるようになったとか。

レシートを取り込んだあとの「弥生会計」の画面。
日付や金額のほか、軽減税率の区別まで認識される
(画像の一部を加工しています)

山口 社長がバックオフィス業務に付きっきりだったのですか。そこから解放されれば、社長本来の業務に専念できますね。

望月 そうなんです。そのスキャンも、スキャンスナップならボタン一つでできるから頼みやすいと聞いていますよ。
PFUさんとは以前からキャンペーンなどで協業しておりましたが、連携により中小企業の効率化に貢献できていれば、とても喜ばしいことです。

山口 ありがとうございます。弥生さんは、会計ソフト店頭売上21年連続ナンバーワン。私たちは年間販売台数がようやく10年連続ナンバーワンになったところですが、ナンバーワン同士がタッグを組んでいくことで、一社でも多くの中小企業経営者に貢献していきたい。それが私たちの責任でもあると思います。

簡単なところから始めるのが生産性向上を成功させる秘訣

―最後に、中小企業経営者にメッセージをお願いします。

山口 かつて、スムージーが流行ったときミキサーを買ったものの、洗うのが面倒で使わなくなった人もいるという話を聞いたことがあります。じつはデジタルトランスフォーメーションも同じ。業務効率化は急務ですが、いきなり複雑で高度なことをやると、負担が大きすぎて結局は頓挫します。まず紙が出たらとりあえずスキャンするというように、簡単なところから始めて定着させることが成功のコツです。

望月 スキャンの後はソフトの領域で、ここはお客様が何もしなくていい状況が理想です。以前は領収書を読み取って正しく仕訳する精度が低く、手作業で修正が必要でした。しかし現在はそれも改善され、高い精度で読み取りと仕訳が可能になっています。今後は制度変更に順次対応するとともに、AIの精度をさらに高めて完全自動化を実現したいですね。ご期待ください。

取材日:2020年3月

編集協力 プレジデント社 企画編集本部