株式会社セールスフォース・ドットコム
常務執行役員
エンタープライズ営業第二本部長
宮﨑 盛光
最近は、弊社がITを活用して新しい社員をどのように素早く戦力化しているのか、また社員がどのように成長し、やりがいを感じて定着しているのかをお伝えする機会が増えています

ITによる情報武装で、社員を自分の〝分身〞にする!

「どんな企業であれ、〝成長の壁〞があるといわれます。ただ〝壁〞を乗り越え、さらなる飛躍へと進むための課題としては、大きくは三つしかありません。つまり、売上を伸ばす、コストを下げる、そして人材活用です」

こう語るのは、企業の経営実態に精通するITサービス大手 株式会社セールスフォース・ドットコムの常務執行役員エンタープライズ営業第二本部長・宮﨑盛光氏である。

経営者は日々、売上・利益・コストと格闘しているが、宮﨑氏の語る「三つの課題」のうち、特に多くの企業で最近クローズアップされるのが三つ目の「人材活用」だという。
「事業承継を考える経営者様が増える中、『今はご自身が現役だからやれていると思いますが、他に同じようにできる方はいますか?』と伺うと、『そう。そこが問題なんだよ』とおっしゃる方が多くいらっしゃいます」

特に中堅・中小企業では、経営の舵取りの「勘所」を社長や幹部の能力に頼るところが多く見られ、営業活動に関しても一部のトップ営業やベテランの「個」の力で支えられている企業が多くあるという。宮﨑氏は続けて語る。
「事業拡大であれ、事業承継であれ、企業が〝成長の壁〞を突破し、次のステージに進むには〝情報がつながる仕組み〞が必要不可欠です」
特に、スマートフォンやSNSを使いこなす企業経営者の子・孫世代は、社内でいまだに紙やExcelファイルが飛び交い、仕事にまつわる人や情報が〝つながっていない〞様子を見ると衝撃を受けるのだという。

「ITで情報武装、というと難しそうな印象を持たれがちですが、たとえば経営者の方に『社長やトップ営業の〝勝ちパターン〞を他の社員が分身のように簡単に再現できるとしたら、ご興味ないですか?』と伺うと大半の方が耳を傾けられます。我々はそうして売上を伸ばしたり、生産性を高めて残業を減らしたり、といったご支援を20年間続けてきたわけですが、最近はITの〝道具〞としてのご提案以前に、社員の育成や定着を図るための仕掛け、またそれを支える弊社の企業風土や文化をお話しする機会も増えています」

今年度は「働きがいのある会社」ランキングでNo .1に選ばれるなど、人材活用や人材定着にもITが活用できることを自ら実証しているセールスフォース社。このように、ITを武器にして社員一人ひとりの力を最大限活かせるようになれば、〝成長の壁〞の突破は難しくないのかもしれない。

取材日:2019年5月

編集協力 プレジデント社 企画編集本部