「法令対応」と「事業戦略」の絶妙なバランスが好循環を生む
働き方改革で中小企業が窮地に立たされている。2019年4月から一足先に大企業に残業時間の上限規制が適用され、こなせない仕事は社外の下請けに。人手不足も手伝って中小企業はむしろ忙しくなったが、この4月からは中小企業にも規制がかかり、残業頼みの業務を見直さざるを得なくなる。
環境変化を見越して対応済みの経営者がいる一方、いまだ様子見の経営者も多い。AGSコンサルティング代表取締役社長廣渡嘉秀氏は、「変化ヘの適応力が問われている」と指摘する。
「昭和や平成初期にも大きな環境変化はありましたが、当時はスピードが緩やか。いまは情報が巡るスピードも含めて変化が速く、自ら積極的に情報を取りに行く経営者でないと厳しいでしょう」
時代に取り残された企業は近い将来「倒産」する!?
その一方で、制度改革や法改正、社員のニーズなどに応えることばかりに気を取られるのも危険だ。その結果、業績が悪化し、給与が支払えない事態が発生したら本末転倒である。
「逆に、業績悪化を漠然と心配して法令対応が遅れることもリスクです。大切なのは、経営数値を見ながら働き方改革への対応を進めることです」
会社経営は複雑であり、一つの課題や一つの側面だけで経営をしていれば、とたんに立ち行かなくなる。大切なのは複雑な課題を整理し、本質を見極めて優先順位をつけ、バランスを取りながら解決すること。このことが、やがては好循環を生み出していく。
「働き方改革を受け、多くの企業が懸案に挙げているのが時短です。残業時間を抑制すると、毎月の長時間残業を前提にしていた賃金体系や評価基準にもメスを入れる必要が生じてきます。
そこで、残業が多いと逆にマイナス評価になるというような、思い切った見直しも求められるでしょう」
AGSコンサルティングではこのように、税務会計から経営管理、人事労務まで、ワンストップで提供できる体制を整えてきた。
「目指しているのは、中小企業の〝総合病院〞になること」と、廣渡氏は言う。
諸課題を同時進行で解決する必要が生じる今だからこそ、こうしたサービスが求められているのかもしれない。
編集協力 プレジデント社 企画編集本部